奈良県奈良市にある「五劫院(ごこういん)」。
東大寺の末寺で、東大寺境内外、正倉院より北へ徒歩10分ほど、静かな住宅街にある小さな寺院です。
五劫院縁起によると、重源上人が宋に渡られ、浄土教高祖・善導大師の御作、五劫思惟阿弥陀佛を請来され、東大寺北門に一堂を建立し御本尊としてお祀りされたのが五劫院の創始とされています。
重源上人
保安2年(1121)京都生まれ。
13歳で醍醐寺に入って密教を学び、仁安2年(1167)入宋し、翌年帰国。治承4年(1181)平重衡の南都焼討により東大寺の大部分の伽藍が焼失したが、翌年60歳を過ぎた重源が東大寺の大勧進職に任ぜられ、10数年の歳月をかけて東大寺の再興を成し遂げた。
再建の功により大和尚の号を受け、健永元年(1206)86歳で入滅した。
五劫院は、なんと言っても御本尊の「五劫思惟(ごこうしゆい)阿弥陀仏坐像」が有名です。
アフロヘアーのように見える螺髪は、気の遠くなるほど長い間、剃髪をすることもなく坐禅・思惟していたので、このような髪形になったとされます。
「五劫」の「劫」とは非常に長い時間を表す単位で、永遠・無限を意味します。
こちらのお寺は通常非公開で、2021年は8月1日~11日のみ開扉されます(左記以外は要予約)。
五劫思惟阿弥陀仏坐像(重要文化財・鎌倉時代)
とっても可愛らしいお姿で、大好きな仏様です。こんなにも長い時間、我々衆生のことを考えていただいてありがとうございます、という気持ちになります。
このようなお姿の阿弥陀如来は大変珍しく、全国的にも数は少ないのですが、東大寺勧進所に安置されている五劫思惟阿弥陀仏坐像は五劫院のものと大きさも似ていて、双子のようでこちらも大好きです。
以前、あべのハルカス美術館で開催された東大寺展で2体同時に展示されたことがあり、ファンとしては夢の共演でした。思い出として記しておきます。
五劫思惟阿弥陀仏坐像(重要文化財・鎌倉時代)東大寺勧進所蔵
東大寺勧進所に安置されている五劫思惟阿弥陀仏坐像。10月5日のみ開扉されます。
パンフレット
<五劫院>
【住所】奈良県奈良市北御門町24
【電話】0742-22-7694
【時間】9:00〜15:00
【拝観料】志納
【特別拝観】8月1日~11日まで ※左記期間以外は要予約
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