奈良県生駒郡斑鳩町にある「法輪寺(ほうりんじ)」。
法隆寺がある「斑鳩(いかるが)の里」の北方に位置し、飛鳥時代の仏像と飛鳥様式の三重塔で知られています。
推古30年(622)、聖徳太子の子・山背大兄王(やましろのおおえのおう)によって、太子の病気平癒を願って建立されたと伝えられています。
創建当時の建物は現有していませんが、戦後の発掘調査から、法隆寺式伽藍配置をとり、七堂伽藍を完備していたこと、7世紀の創建だったことが判明しました。
山背大兄王
聖徳太子の子。母は蘇我馬子の娘・刀自古郎女(とじこのいらつめ)。?〜643年
推古天皇の死後、蘇我蝦夷の推す田村皇子と皇位を争って敗れたが、なお人望があったため蘇我入鹿に襲われ、斑鳩宮で妻子とともに自害した。蘇我入鹿とは従兄弟にあたる。
金堂
現在の金堂は、江戸時代の宝暦11年(1761)に再建されたものです。
堂内に安置されていた本尊・薬師如来坐像、虚空蔵菩薩立像などは、安全をはかって講堂(収蔵庫)に移されました。
三重塔
明治時代に最大最古の三重塔として国宝指定を受けていましたが、昭和19年(1944)に落雷によって焼失。全焼してしまったために、その指定は解除されました。
現在の三重塔は、昭和50年(1975)に旧来の場所に創建当初と同じ姿で再建されたもの。
法輪寺の三重塔は、法隆寺の五重塔、法起寺の三重塔とともに「斑鳩三塔」と呼ばれています。
講堂
昭和35年(1960)に、耐火耐震の鉄筋コンクリートの収蔵庫として再建されました。
11体の仏像、出土瓦、伽藍図や塔の模型などが公開されています。
本尊・薬師如来坐像(重要文化財)
飛鳥時代作、クスノキ材の一木造、像高110.2cm
法輪寺の本尊で、現存する飛鳥時代の木彫如来像としては唯一・最大のものといわれています。もとは金堂に安置されていましたが、現在は講堂(収蔵庫)に移されています。
虚空蔵菩薩立像(重要文化財)
飛鳥時代作、クスノキ材の一木造、像高175.4cm
法隆寺の百済観音像に少ーし似ています。あそこまでモデル体型ではないですが。法隆寺ももちろんいいですが、法輪寺の飛鳥仏もとってもいいです。しかも近くで観られます。
十一面観音菩薩立像(重要文化財)
平安時代作、杉材の一木造、像高360cm
講堂の本尊。収蔵庫の中央に安置されています。
大きな眼と厚い唇がエキゾチックな顔立ちをされていますが、素朴な感じもあり好きです。
妙見堂
平成15年(2003)に再建。秘仏・妙見菩薩立像がお祀りされています。
11世紀頃の作で、現存する最古の木彫妙見像ともいわれています。通常非公開で、毎年2月15日の新春妙見護摩祈祷や、4月15日の妙見会式等でのみ開帳されます。
妙見堂パンフレット
数年前に通常参拝と妙見護摩祈祷に訪れ、妙見堂の御開帳にもお邪魔してきました。秘仏の妙見菩薩立像のお姿は記憶に遠く、一面四臂で慈怒の表情をされ、青龍に乗っているそうですが、おぼろげです。
法輪寺は好きなお寺の一つなので、妙見堂の御開帳に合わせてまた行きたいです。
<法輪寺>
【住所】奈良県生駒郡斑鳩町三井1570
【電話】0745-75-2686
【時間】8:00〜17:00
【拝観料】大人500円、高校・中学生400円、小学生200円
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