京都市東山区にある「泉涌寺(せんにゅうじ)」。真言宗泉涌寺派総本山です。
古くから天皇家との関わりが深く「御寺(みてら)」とも呼ばれています。
泉涌寺は、鎌倉時代の建保6年(1218)、月輪大師・俊芿(がちりんだいし・しゅんじょう)によって開山され、天台・真言・禅・浄土の四宗兼学の道場として栄えました。
宋の法式を取り入れた大伽藍の造営を志し、嘉禄2年(1226)に主要伽藍が完成。
その時、寺地の一角から清水が涌き出たことにより「泉涌寺」と改めました。この泉は今も枯れることなく涌き続けているそうです。
総門
東山の一峰である月輪山の麓に広がる寺域内には、鎌倉時代の後堀河天皇、四条天皇、および江戸時代の後水尾天皇から孝明天皇に至る天皇陵があり、霊明殿には歴代の天皇や皇后、皇族の尊牌(位牌)が奉安されています。
大門(重要文化財)
楊貴妃観音堂
大門をくぐって左手に楊貴妃観音堂があります。楊貴妃観音像が安置されています。
楊貴妃観音堂
楊貴妃観音像(重要文化財)
南宋時代作(鎌倉時代)、像高114.8cm
世界三大美人の一人、楊貴妃をモデルに作られたと伝わる聖観音。
湛海律師が寛喜2年(1230)に南宋から請来した木像で、作風、材質など、明らかに日本の仏像とは異質で、寺伝どおり南宋時代の作と考えられています。
江戸時代初め頃から「楊貴妃観音像」と呼ばれ、多くの女性から美人祈願の観音様として親しまれています。
私も大好きな仏像の一つです。エキゾチック美仏。
楊貴妃観音像(重要文化財)
長らく秘仏でしたが、昭和30年(1955)から一般公開されています。
楊貴妃観音像前に数種類のお守りが置かれていて、楊貴妃観音像の御利益が一番ありそうな美人祈願のお守りを購入させていただきました。効き目はいかに。
下り参道
大門をくぐって正面に見える仏殿までの参道が下りになっている「下り参道」。
大変珍しい伽藍配置で、泉涌寺や出雲大社などにみられます。
天皇家と深い関わりがある「御寺」であるため、大門を通って参拝される天皇を敬うため、へりくだって大門より仏殿を下りにした、と聞いたことがあります。真偽は不明。
仏殿(重要文化財)
寛文8年(1668)四代将軍・徳川家綱によって再建された本堂です。
運慶作と伝わる阿弥陀・釈迦・弥勒の三尊仏が安置されています。
仏殿の天井の「雲龍図」、本尊背後の「飛天図」、裏壁の「白衣観音」もすべて寛文9年(1669)に狩野永徳の孫・狩野探幽によって描かれたものです。
阿弥陀・釈迦・弥勒の三尊仏
現在・過去・未来に渡って救いをもたらすといわれる「三世仏」。泉涌寺の御本尊です。
左の「阿弥陀如来」が現在、中央の「釈迦如来」が過去、右の「弥勒如来」が未来をあらわします。
舎利殿
パンフレット
<御寺 泉涌寺>
【住所】京都府京都市東山区泉涌寺山内町27
【電話】075-561-1551
【時間】9:00〜16:30(3月〜11月)、9:00〜16:00(12月〜2月)
【拝観料】大人500円/小人300円、特別拝観300円(中学生以上)
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