福井県小浜市にある「瑞伝寺(ずいでんじ)」。
瑞伝寺の開創については不詳ですが、当寺に伝わる「瑞伝寺本尊縁起」によれば、鎌倉時代の承元3年(1209)に、若狭国守護・津々見忠季(つつみただすえ)の家臣・清原是定の建立とされます。
こちらでは、瑞伝寺の御本尊・木造地蔵菩薩坐像が必見で、古くから子安地蔵として近在の人々の信仰を集めてきたそうです。
本堂
本尊・木造地蔵菩薩坐像
鎌倉時代初期作、ヒノキの寄木造り、像高86cm
当寺に伝わる「瑞伝寺本尊縁起」によると、快慶作とされていましたが、近年の調査によって幸千という仏師による作であることが判明しました。
仏師・幸千は、生没不明ですが、奈良・西大寺の木造叡尊坐像胎内納入文書「西大寺有恩過去帳」(弘安3年・1280)に見える同一人物と考えられ、「春日社司祐茂日記」(嘉禎2年・1236)にも同名があることから、奈良にいた慶派の流れを汲む仏師と思われます。
ともあれ、とても美しい地蔵菩薩坐像であることには間違いありません。
案内板
当寺の本尊地蔵菩薩坐像は古くから子安地蔵として近在の人々の信仰を集めてまいリました。
本像は像高八十六センチ、檜材の寄せ木造りで、鎌倉時代初期の承元三年(1209)に造られた仏像であります。
当寺伝来の「瑞伝寺縁起」によれば、この御本尊は鎌倉時代の若狭の惣守護であった津々見右衛門次郎忠季の郎党清原是定が、奈良の有名な仏師快慶に造らせたものとされていました。しかし、近年の調査によりまして仏像の体内から次の墨書銘が発見され、これが裏付けられました。
願主僧行意 承元三年三月一日清原是定幡麿包近
仏師幸千 曽□□□ 大中臣宗□
承元三年頃、国富にいたと思われる地顔清原是定の寄進によって奈良仏師快慶ではなく幸千が造像したものであることが判明しました。鎌倉時代の在銘仏として大変貴重な仏像であります。
<瑞伝寺>
【住所】福井県小浜市高塚19-8
【電話】0770-56-1445
【駐車場】あり
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